Z-KEN's P&TI Studios

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

P&TI Ex-14 オリバーへのプレゼント(リメイク)

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 アールズバーグにもクリスマス・イブで駅と操車場が賑わっていた。飾り付けはまだだったが、機関車たちは幸せな気分で暖かい機関庫で休んでいる。

でも、たった一台、幸せじゃない機関車が居た。

「ほら、さっさと動けよ」

ガシャンと乱暴に音を立てたのは、オリバーだった。彼は不機嫌そうに貨車の入換え作業をしている。貨車たちは彼に対して悪戯をすることは無かったが、古くて頑固な貨車ばかりで、移動には時間がかかるのだ。

 

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駅の隣にある機関庫では、仲間たちがオリバーを心配そうに見守っていた。

朝から頑張っている彼の姿を見て、ブレーキ車のトードは何かしてあげたいと思ったが、自分一人では何も行動を起こせないので、不甲斐なさを感じていた。

「クリスマスですし、オリバーさんに 何か プレゼントを あげたいのですが…」

「それなら、青いボディに 塗り替えてあげるのは 如何でしょう。私達の 好きな色なのです」

ダグラスがこう言うと、ダックが否定した。

「だめだよ。グレート・ウェスタンの機関車は、緑色じゃなきゃ」 

だけど、ここからは他にいい案が思い浮かばなかった。

 

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暫く沈黙が続き、トードが諦めようとしたとき、ドナルドが口を開いた。

「ダギー。トードと一緒に 配達に行ってきなさいな。私の仕事なら、いろんな機関車と会えるはずです」 

「ということは、つまり― なるほどです。行きましょう、トード」

早速ダグラスは転車台で方向転換すると、ホッパー車とトードを連結してドナルドの仕事を代わりに取り掛かった。

トードはダグラスと一緒に出掛けられて嬉しかった。

「オリバーには 内緒にしましょう。僕、びっくりさせたいんです」

 

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 そういうわけで、ダグラスはまず、ホッパー車を砂利落としの下へ持ってきた。

ちょうど隣の線路には、アールズデール鉄道の小さな機関車レックスとバートが居た。バートが陽気に声をかけた。

「やあ、トード。今日は オリバーと一緒じゃないんだね」

「ええ。入換え作業で 忙しくて。そんな一生懸命なオリバーさんに、プレゼントを 送りたいと 思っているのですが、宜しければ、バートさんたちからも 知恵を貸していただけると 嬉しいです」

「そうだなあ。写真を撮るのは どうだい」

と、バートが冷笑的に言った。

「僕は 新しい汽笛が いいと思うなあ」

と、今度はレックスが、砂利落としの上で待っているマイクに聞こえるように、わざと大きめの声で言った。マイクは彼を睨んだが、レックスはお構いなしだ。

「まあ、僕らが 考え付くのは これくらいかな」

「写真と汽笛ですね。ご意見ありがとうございました」

トードは機関車たちの意見を纏めて、車掌はそれをメモした。

ホッパー車に砂利が積み込み終わったのを見て、ダグラスは汽笛を鳴らして出発した。

 

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 次にダグラスたちは、砂利の貨車を届けるためにクロヴァンズ・ゲート駅へやってきた。そこで幅の狭いレールを走る機関車たちと出逢い、挨拶をした。

ごきげんよう。いま 私たちは オリバーの為の プレゼントを 考えているのですが、なかなか 思い浮かばないのです」

「それなら断然、特製の車輪だね。僕のを ご覧よ。スムーズに 走れるんだ」

と、サー・ハンデルが得意げに言った。

「そんな ジョージみたいな車輪、ダメだね。おいらのような 立派な煙突が いいよ」

と、ダンカンが続けて言った。

「煙突と云えば、僕みたいな 特製の煙突は どうかな。これのおかげで 走りやすいんだ」

と、ピーター・サム。

トードは彼の特殊な形状の煙突を見て「(オリバーに似合うかな)」と首をかしげたが、

「特製の車輪か、特製の煙突ですね。ご意見ありがとうございます」

と、丁寧にお礼を言った。

 

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 その頃、オリバーは機関庫の前にあった貨車をやっと片付けたところだった。

「あれあれ。トードは 何処だろう」

「ダグラスと一緒に、今日 最後の配達に 出かけたよ」

「そう…」

ダックの言葉に、オリバーは寂しそうな表情で返事をした。

「ところで ダック、彼と一緒に 入換え作業を してみては?」

「それもそうだ。2台なら 早く 終わらせられるよね」

 

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 最後にダグラスは、クリスマス・プディングやツリーを機関庫へ運ぶために一度ピール・ゴッドレッドの支線を走った。途中のカルディー登山鉄道の連絡駅では、たくさんの仲間たちが居たので、彼はここでもプレゼントの案を募集した。

「専用の客車は どうかな。僕のキャサリンみたいに」 

と、カルディーが言ったが、ダグラスは首を振った。

「彼には もう、イザベルとダルシーと云う 客車が 居ます」

「そっか」

「ボディを 洗ってあげるのは どうだい。一生懸命働いた後の 洗車は 格別だぜ」

と、パトリック。

「ピカピカの新しい車輪は どうかなあ」

と、側線に居たシドニーも言ったが、ダグラスは彼に耳を貸さず「洗車ですね」とだけ言い残して駅を出て行った。

「ちょっと、僕の意見は? 忘れちゃったけど」

「車輪です。わかってますよ~」

と、去り際にトードが一言。

 

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終点の駅で貨車を受け取ったダグラスとトードは、日が暮れる前に家路を急いだ。

「えっと、写真に、汽笛、特製の車輪と、特製の煙突。それから洗車や、新しい車輪」

トードはここまで出てきた意見を、車掌と確認しながらつぶやいた。

「ソドー整備工場に 行くのなら、今のうちですよ」と、ダグラス。

だが、トードが悩んでいる間、いたずら貨車たちが喚き始めた。

ダグラスの言ったことをオウム返ししたり、「車輪だ」「汽笛だ」と、間髪を容れずに騒いで、わざと彼らを困らせる嫌がらせをした。

間もなくトードの焦りは頂点に達してしまった。

 

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 ダグラスとトードがアールズバーグに着いた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。でも、ダックが手伝ったおかげで、オリバーの仕事は完了していて、転車台も使えるようになった。

「おかえり、トード。プレゼントは 見つかったかい」

ダックが訊ねると、トードはしょんぼりしてこう答えた。

「それが、良い案が ありすぎて、結局決まりませんでした。ごめんなさい オリバーさん」

オリバーには、わけがわからなかった。

「ねえ、何の話だい」

 

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「いつも 頑張っておられる貴方に、クリスマス・プレゼントを 渡そうと 思っていたんです。色んな提案を受けましたが、何にしようか 決まらず…」

トードが事情を話すと、オリバーは噴き出した。

「そうか、今日は クリスマスだったね。忘れていたよ」

「本当に ごめんなさい。優柔不断な 僕が悪いんです」

「気にするな。その気持ちだけで 十分ありがたいよ。僕は みんなと一緒に、この鉄道で働けることが 何よりも幸せなんだ。だから、プレゼントなんて要らないのさ」

この言葉に、トードや他の機関車達も嬉しくなって微笑んだ。

「それにさ、僕の大好きな暖かい機関庫で、みんなと過ごすのが一番だからね」

 こうしてアールズバーグのクリスマス・パーティが始まったのだった。

 

 

おしまい

 

 

 

【物語の出演者】

●ダック

●ドナルドとダグラス

●オリバー

シドニー

●サー・ハンデル

●ピーター・サム

●ダンカン

●カルディー

●パトリック

●レックス

●バート

●いたずら貨車

●トード

●マイク(not speak)

●マイティマック(cameo)

●キャサリン(mentioned)

●イザベルとダルシー(mentioned)

●ジョージ(mentioned)

 

 

【あとがき】

 リメイク第14弾は2014年2月7日投稿のPToS S12 E29『アールズバーグのクリスマス』でした。PToSのシーズン10とシーズン12は全く別の時系列ですが、前回に出番が無かったキャラクターで纏めてみました。設定は1968-1969年ぐらいを意識してます。*1

これにて過去作品リメイクは終了…の、はずでしたが、まだ用意しています。もうちょっとだけ続くんじゃよってやつです。

*1:前回は1962-1964年設定。