Z-KEN's P&TI Studio

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

P&TI S13 グレート・ウェスタンりゅう


 ある日、ダックが客車を牽いて自分の支線を走っていると、駅でハット卿がいることに気付いた。
ちょうど停車駅だったので、彼と話をすることができた。
「おはようございます、トップハム・ハット卿」
「やあ ダック。待っていたよ。君に とても特別な仕事を 任せようと思っているんだ」
それを聞いて、ダックはワクワクした。
「実は 3日後に、本土から キング・エドワード1世の 特別列車が 訪問することになった。アールズバーグ・ウエストで イベントを開くんだよ。そこで君に、彼が ティッドマスまで来たら、彼の先導をとって 走ってもらいたいんだ」
「わあ、ありがとうございます。グレート・ウエスタン鉄道の仲間を、お出迎えするなんて 感激です!」
彼は嬉しくてたまらなかった。



 その日の午後、オリバーは、ダックと重連で貨物列車を引っ張ることになった。ダックは誰かと喜びを分かち合いたくてウズウズしていた。
「ねえオリバー、僕が トップハム・ハット卿に どれだけ信頼されてるか わかるかい。僕はね―」
「ふーん、そうかい」
彼には、それがただの自慢にしか聞こえなかった。



 次の日、アールズバーグ線の機関車たちは、イベントの準備に取り掛かった。しかし、イベント関連の仕事はダックが全て持って行ってしまい、残ったオリバーは貨車の入れ替えを任された。
「どうして僕だけ いつものように 貨車の入れ替えをしなくちゃならないんだ」
「お気持ちは お察ししますが、貨車の入れ替えも 大切な仕事ですよ。散らかったままでは、キング・エドワード1世に 失礼ですから」
「わかってるさ、トード。でも、僕だって イベント関連の仕事が したいんだよ」
彼が給水して休んでいると、そこへダックがやってきた。
「仕事には 二通りのやり方が あるのは 知ってるね。グレート・ウエスタン流と…」
「僕を ダメダメ流って 言いたいのかい? 水を補給しているだけじゃないか。まったく、もう!」
彼はそんなダックにうんざりし、大きくため息をついた。



 やがて夜になり、オリバーはティッドマス機関庫にやってきた。明日の早朝、ティッドマス駅から列車をスタートさせるため、今夜はここで夜を過ごすのだ。
機関庫にやってくるなり、オリバーは愚痴をこぼした。
「ダックときたら、近頃は実に うるさい。局長さんから 特別な仕事を もらって以来、いつも しつこく自慢ばかりするんだ」
「まったくだよ。すっかり浮かれちゃってさ。何かっていうと すぐグレート・ウエスタン流だの、ダメダメ流だの。奴は 自分が あの鉄道の栄光に縋ってるだけだよ」と、ジェームス。

「そうだそうだ。オリバーの冒険談を何百回も聞くほうがまだいいよ」と、ヘンリー。
「俺は お前の どうでもいい冒険談と 愚痴で 耳にタコができるよりは ましだがな」と、ゴードン。
「なんだと!」
「まあまあ。ダックさんは、そんなつもりはないと思いますよ。彼は ただ、あなた方に喜びを 共有したいだけかと」
「いいや、彼は 僕らより 偉いと思ってるのさ。僕だって あの鉄道で 働いていたし、きちんと仕事を こなすことくらい、わかってるのにさ…」



オリバーの不満は募るばかりだ。次の日もイベント関連の仕事をやらせてはくれなかった。それに、昨夜のゴードンの言葉が忘れられなくて、相変わらず腹を立てているのだった。
旅客列車の仕事を終えると、客車たちを終点の操車場へ置き、今度は貨物列車を牽いてナップフォードの操車場へ向かった。
途中、彼は気になるものが目に入った。なんと、線路わきでタイガー・モスが逆立ちをしているではないか。パイロットが赤旗を振っているのが見えたので、彼は停車した。
「どうされたんですか」

「宣伝中に 不調が出てね。タイガー・モスが 墜落してしまった。イベントの宣伝が できなくて困ってるんだ。悪いんだけど、南の方へ行くなら こいつを格納庫まで 運んでくれないか?」
「僕に 任せてください。全力を 尽くしますよ」
「ありがとう、オリバー。ドライオー駅まで 頼むよ」



 間もなくダックがロッキーを運んでやってきた。
「僕が 後ろに ついて 走ろうか」
「いいよ。トードもいるし、僕だけで 平気さ」
「でも、彼は 前を向いて走れないだろう。昔、ハロルドを 運んだ事が あるんだけど、その時は狭い通路を確認するため、トーマスが後ろに ついて 走ったんだ。だから 誰かが 後方確認に 後ろに ついた方が 安全だよ」
「だけど 2回も失敗しただろ、知ってるよ。 君の 煩い 自慢話を聞きながら走るのは もう ごめんだ。さあ 行こう、トード」
彼はそう言うと、ドライオー駅に向かって出発した。
自分の行いを振り返ってしょんぼりとしたダックは、オリバーの代わりに貨物列車とロッキーを牽いてナップフォードへ向かった。



 分岐点で曲がったオリバーは、間もなく跨線橋を前にした。
そこへ、鉱山へ向かうトビーがやってきた。彼はオリバーの運ぶタイガー・モスを見て息をのんだ。
「危ない! その タイガー・モスは 跨線橋の下を くぐれないよ」
オリバーは跨線橋の前で急ブレーキをかけて止まった。
「ふう。教えてくれて、ありがとう」
「後ろから 確認する機関車は いないの」
と、ヘンリエッタが言ったが、オリバーは構わず別の道を進むために後退した。



彼は分岐点に戻ると、今度はまっすぐ進んだ。
「やっぱり、誰かに 後方確認してもらった方が いいですよ」
「大丈夫。僕を信じてよ トード」
そこへ、反対側の線路からドナルドがやってきた。彼は陽気にハミングしながらスピードを出して走っていた。
「気を付けて、飛行機列車が通るよ!」
でも、ドナルドは直前まで気づかなかった。ガシャンという音を立て、ドナルドの屋根がタイガー・モスの羽に衝突した。貨車から飛び出すことはなかったが、部品が取れて線路に落ちた。
「何か飛びましたよ、オリバーさん」
幸いにも、トードの忠告が耳に入った機関士はオリバーを停車させ、機関助士が落ちた部品をとりに行った。助士が戻ると、再び出発した。



行く先々で人々が、タイガー・モスを運ぶオリバーを珍しそうに見物する。子供たちも歓声を上げると、オリバーは気分がよくなり、つい調子に乗った。
「どうだい、かっこいいだろう。手を振ってくれて、ありがとう」
注目を浴びて自惚れたオリバーは、愉快そうに陸橋をガタゴトと渡る。



だが、その楽しさも長くは続かなかった。
前方にティッド川に架かる狭い鉄橋があることを忘れていた彼は、スピードを上げて走っていた。
鉄橋が見え、急ブレーキをかけた時にはもう遅かった。鉄橋に引っかかったタイガー・モスは、貨車から転げ落ちて、川へ落下してしまった。

 すぐにダックがロッキーを運んで現場へ駆けつけた。
トップハム・ハット卿も、ウィンストンに乗ってやってきた。
「君のせいで、混乱と遅れが生じたぞ。君と 一緒にいた トードだけでなく、ダックや ヘンリエッタの忠告を ちゃんと聞かなかったそうだな」
「ごめんなさい。これからは 仲間の忠告は きちんと 聞くようにします」



 タイガー・モスを貨車に戻すと、ダックが後方確認のため後ろについた。
そのおかげで事故を起こすこともなく、速やかに目的地に到着することができた。
「本当に ごめんなさい。僕のせいで タイガー・モスが もっと ぐしゃぐしゃに…」
タイガー・モスの車体は水で濡れ、歪んでいたが、パイロットは「早いうちに着いてよかった」と喜んでいた。



 その晩、ダックとオリバーは明日に備えてティッドマス機関庫へやってきた。
「ごめんよ。君の忠告を、真面目に 聞けば よかった」
「僕の方こそ、しつこく言って ごめん。君と この喜びを 分かち合いたかっただけなんだ」
「いいんだ、君は 何も悪くない。これからは しっかりと 注意深く仕事をするよ。もちろん グレート・ウエスタン流の やり方でね!」
2台は大笑いし、仲直りをした。イベント関連の仕事をもらえなかったオリバーを気の毒に思ったダックは、お詫びに自分の役割をオリバーに譲ってあげることにした。
これで明日は2台とも笑顔でキング・エドワード1世を出迎えられるだろう。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●ヘンリー

●ゴードン

●ジェームス

●トビー

●ダック

●オリバー

ヘンリエッタ

●トード

●トップハム・ハット卿

●オリバーの機関士

●タイガー・モスの操縦士

●ドナルド(not speak)

●ウィンストン(not speak)

●ロッキー(not speak)

●オリバーの機関助士(not speak)

エドワード(cameo)

●パーシー(cameo)

●ダグラス(cameo)

ファーディナンド(cameo)

●キャロライン(cameo)

●ブッチ(cameo)

○キング・エドワード1世(mentioned)

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2014年に投稿した記事を再編集した物です。