Z-KEN's P&TI Studios

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

『Crossed Lines』試訳


『ジェームスの いれかえ』

 

 トップハム・ハット卿は、自分の鉄道で更にディーゼル機関車を扱うようになった。
だが、ジェームスは未だに彼らの事を好きになれない。
そんな彼の前でヘンリーが優しく声をかけた。
「彼らは良い奴だよ。僕たちと同じ、なんでも屋の 機関車さ」
「"なんてことない"、の 間違いだろう」
ジェームスはぶつぶつとぼやいた。
「両端に 運転台が 二つも あるなんて、混乱しないのかねーえ」
「トビーには 運転台が 二つあるよ。しかも 上手くやっていけてる」と、ダック。
「トビーなんて、ただのチビだよ。僕みたいな 重要な機関車なら、もし二つついても、どっちへ行けばいいか 迷う事なんてないね」

 みんなはジェームスがとても自惚れていると思った。


「彼は きっと 自分を 王様か何かだと 思い込んでるんだ。うんざりだよ」ヘンリーが不平をこぼした。
するとダックが思い出話をし始めた。
「僕は、キング・ジェームス1世と呼ばれる機関車を 知ってるよ。昔 パディントンに居たんだ。でも、一度も 威張ったりなんかは しなかったね」
「そーれは ジェームスには はーなさない方がいい。ぼーくたちの生活が、まーすます 危うくなっちゃうよ」
ドナルドが訴えるとヘンリーも同意した。
「そうだね。でも、どうしたらいいのかな」

 機関車たちは色々な考えを試したけれど、上手く行かなかった。
今やジェームスは、彼がその場に居ないときに仲間が思わず喜んでしまうほど、ひどく自惚れるようになった。
客車達でさえ彼に牽かれると思うと…と、互いに心配そうにヒソヒソ話を始めるぐらいだ。

 ある日、ジェームスは、ぷりぷり怒りながら機関庫へやってきた。
「入換えだって! ドナルドとダグラスは 何処だい。奴らの仕事だろう」
だけども、双子はエドワードの支線へ手伝いに行っていたので、ジェームスは自分一人でその仕事をやらなければならなかった。

 ジェームスが扱うのは"大物車"と呼ばれる車体の長い貨車だった。各先端にはボギー台車が備えられており、荷台の部分はとても背が低い。車やトラクター、それから重い機械などを載せるために造られているのだ。
入換え作業はそう難しいものではない。
でも、腹を立てていたジェームスは貨車に『ドスン、ガチャン』とぶつけたので、貨車たちは「痛い、痛い、やめてよ、やめてよ!」と悲鳴を上げた。一部の貨車はジェームスを困らせようとブレーキをかけようともした。
彼は列車の準備が整う前に2台の貨車を持って行った。
ジメジメした天気で霧も立ち込めていたので作業には時間がかかった。

 時々起こる霧のせいで、信号手は目の前で何が起こっているのか、判断し辛い事が多々あった。
機関士は貨車を集めたらポイントから離れてから汽笛で合図を送るようジェームスに話した。
突然、ジェームスのすぐ傍にいた別の機関車が大きく『<ピッピー!>』と汽笛を鳴らして操車場を出て行った。
その音は信号手の耳にも届いていた。
彼は手元のレバーを引いて、ポイントを本線に切り替えた。
先ほどの汽笛で、ジェームスの準備が整っているのだと思ったのだ。

 しかし、ジェームスは準備が出来ていない。
貨車の一台が分岐点の上を通過していたその時、急にポイントが切り替わったのだ。
1台の大物車は正しい線路を進んだが、後方の車輪と他の車両は本線の方へ入ってしまった。
ジェームスがそれを理解する前に、先端の貨車は二本の線路を横移動し始めた。
「止めてくれ!」
大物車がキーキー喚く。だが時すでに遅し。
貨車は信号機にぶつかり、同時にジェームスのいる方へ向かって地面に叩き付けられた。
「やっちまったな。ハット卿は 怒るだろうなぁ…」
ジェームスの機関士は頭を抱えて呟いた。

 機関士の云う通りだった。ハット卿はカンカンだ。
彼はジェームスに、信号の重要性や、それを失った時の不便さについて厳しく叱った。
ジェームスは今回の事故の原因が自分のせいではないことはわかっていた。

 でも、その晩、彼は珍しく機関庫で静かにしていたので、他の機関車たちはほっとした。
「君が いつか 運転台を 2つ持った時、どっちへ行ったらいいか 迷わなければいいね」
誰かがヒソヒソ囁き始めた。
「でも たった1個の運転台で 2つの線路を 同時に走れたら、そりゃ 大したもんだよねぇ」
嫌味を言われたジェームスは、聞こえないふりをしたのだった。


おしまい

 

【物語の出演者】
●ヘンリー
●ジェームス
●ダック
●ドナルド
●大物車たち
●トップハム=ハット卿
●ジェームスの機関士
●アニーとクララベル(cameo)
エドワード(mentioned)
●トビー(mentioned)
●ダグラス(mentioned)
●キング・ジェームス1世(mentioned)

 

【原作/訳/脚色】
原作: The Railway Series第28巻『James and the Diesel Engine』より
   第2話『Crossed Lines』
   クリストファー=オードリー作
翻訳/脚色: ぜるけん(Z-KEN)

 

【あとがき】

※2017-07-16に投稿した旧記事の再掲です。


 自分の趣味兼、英語力の向上を目的として以前Twitterで公開<del>処刑</del>したやつです。当初はブログに掲載する気は無かったのですが、訂正したい箇所があまりに多かったのと、試訳したはいいものの他に公開するタイミングが無かったので敢えて掲載しようという決断に至りました。
<del>日本語でさえも怪しい</del>私の英語力はまだまだ未熟で、極端に直訳ないし意訳が多めです。「ここはこうした方がいい」と思った場合や、明らかに間違っている箇所がありましたらコメントで遠慮なくご指摘頂けると嬉しいですm(_ _)m
物語に登場する"Well Wagon"と呼ばれるボギー台車の貨車は、"低床式大物車"と判断しました。台車の配置は異なりますが日本で云うところのシキ1000形(?)に形状が最も似ていると思ったからです。
TTTE基い現実世界の鉄道には名称が分けられた平坦な形状の貨車が多く存在します。それぞれ何と訳すのが適切か、鉄道にわかの私には全くわかりませんが、私はTTTE Wikiaの記事を参考にしつつ以下の様に判断しています。
●Conflats →平台貨車
●Flatbeds →長物貨車
●Well Wagon →大物貨車
※各車両の外観などは上記のリンク先をご確認ください。
もし名称が明確に定められていたら教えて頂けると幸いです。


 Well Wagonのトラックマスターは一両しか所持していないため、代わりに同じくボギー台車を備えた(?)ジョビの樹の貨車を代用しています。
ボギー台車である必要性を示す場面において写真ではきちんと複線ドリフトになっていない箇所も含めて、もう一両手に入ったら一部の写真のみ撮り直そうと考えています。もっとも、脱線させる線路に複線レールを用いなかった理由は単純に信号機が置けなかったからなんですけどね…。

 

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