Z-KEN's P&TI Studios

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

P&TI S13 ミスティアイランドのかくれんぼ

 
 ある日、スタフォードが操車場で貨車の入れ替えをしていると、トップハム・ハット卿が彼を訪ねた。
「スタフォード、苗木の貨車を ミスティアイランドまで 運んでくれ。それが終わったら、今度は ミスティアイランドで 材木を受け取って、トロッターさんの農場まで 運んでくれたまえ。嵐が 来る前に 頑丈な納屋が 必要だそうだ」
「承知しました。頑張ります」
「午後には 帰ってくるんだぞ。くれぐれも 寄り道は しないようにな」



レスキューセンター前では、苗木の貨車が彼を待っていた。
「貨車の用意は 整ってるぞ、スタフォード」と、ロッキーが声をかけた。
「ありがとう。でも まずは 充電しなくちゃ。何しろ 長旅だからね」



充電を終えたスタフォードは、貨車を連結し、海底トンネルをガタゴトと進んでいった。長い長いトンネルを何時間かかけて通り抜け、ミスティアイランドに到着した。
「今日は、晴れてるな」



 苗木を届け終えると、今度は材木の貨車を受け取りに、駅の前で停車する。
そこにはバッシュとダッシュファーディナンドもいた。
「やあ、スタフォード。ちょうど よかった。おいらたち、これから 3台で かくれんぼするんだけど、君も 一緒に やらないか」と、ダッシュ
「君は おいらたちと違って、音を立てない機関車だから、きっと 楽しくなるよ」と、バッシュ。
「その通り」と、ファーディナンドも相槌を打った。
「残念だけど、それは できないよ。トロッターさんが この材木を 待ってるんだ」
「なんだよ。つまんないな」



でもスタフォードはつまらないと思われたくなかった。
それにバッシュ達を拗ねさせると、暫く口をきいてくれなくなることをトーマスから聞いていたので、彼は仕方なく決断した。
「一回だけなら、やってもいいかな…」
「そうこなくっちゃ。オニは ファーディナンドが やるから、おいらたちは 隠れよう」
「ようし、早速数えるぞ!」



 ファーディナンドが残って数え始めると、バッシュとダッシュ、そしてスタフォードはグラグラ橋を渡り、隠れる場所を探した。
ダッシュは側線の茂みに、バッシュは製材所の方へ向かった。
スタフォードも隠れる場所を探して走り回った。
「急いだ方が いいよ。ファーディナンドは、よく 数え間違いを するんだ」



暫く走り回っていると、スタフォードは山の麓にある側線を見つけた。
そこは他の線路に比べて長い間整備されていないようで、線路は錆びついている。奥には暗い洞窟があって蔦が絡み付いていた。
「こりゃ いいや」
彼はそうつぶやくと蔦を掻き分けながら洞窟へ入り込んだ。



中は真っ暗で何も見えない。そこで彼は2つのランプを点灯させ、辺りを見回した。すると、目の前にとんでもないものを発見した。
そこにはなんと、金銀の財宝や、エメラルドなどの宝石が、ドクロの黒旗と一緒に散りばめられていた。
「すごいぞ。すぐ みんなに 知らせなくちゃ」
彼は、かくれんぼの事なんかすっかり忘れて、大慌てでみんなの元へ向かった。

 

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 ダッシュのひそむ茂みでは、ファーディナンドと、既に見つかったバッシュがきょろきょろと辺りを見回していた。彼らはダッシュを見つけられないようだ。
いい調子だったので、ダッシュは、しめしめとにんまりした。しかしスタフォードがけたたましく警笛を鳴らしながら走ってきた。
ダッシュ、バッシュ!」
「あ、スタフォードと ダッシュ、めーっけ!」
「もうスタフォード。何やってるんだよ…」と、ダッシュ
「ごめん、忘れてた。それよりも、すごいニュースが あるんだよ」
その時、問題が起きた。トップハム・ハット卿がデリックに乗ってやってきたのだ。彼はカンカンに怒っている。
「スタフォード。帰りが遅いから 心配してきてみたら…、いったい 何を やっているのだね」
「ごめんなさい。その…、バッシュ達に 誘われて…遊んでました…」
ハット卿が次のお小言を言う前に、そこへミスティアイランドの局長を務めているロウハム・ハット卿も、トロッコに乗ってやってきた。
「一体 何の騒ぎだね」
「かくれんぼを していたら、スタフォードが 警笛を鳴らして、おいらの居場所を オニに 知らせちゃったんです」と、ダッシュ
「それは いかんな。ルールを破っちゃ だめだぞ スタフォード」
「あの、叔父様…」
「そんなことより、みんなに 見てもらいたいものが あるんです。良かったら、トップハム・ハット卿も ご一緒しませんか」



 材木の運搬はデリックが引き受けてくれることになり、トップハム・ハット卿とロウハム・ハット卿は、スタフォードの案内で洞窟にやってきた。
「こんなところに 洞窟へ続く線路が 敷かれていたとは…。ワクワクしますな」
「おいらたちは 気づいてたよ。でも 一度も 入ったことない」と、ダッシュ
「だって トンネルは "キケン"だもの」と、バッシュ。
「その通り。もう埋もれるのは 勘弁だよ」と、ファーディナンド
中に入ると、スタフォードはランプを点灯させた。
トップハム・ハット卿や機関車たちは目の前の光景に驚いた。
「これは たまげた。財宝ではありませんか…」
「恐らく これは 海賊の財宝ですぞ。ほら、あそこに 三角帽子と それらしい骸骨と服が。サーベルや 旗もある」
更に彼らは懐中電灯を取り出し、辺りを見回した。
すると、またしても驚きの発見があった。
「君! 見たまえ、この岩壁を。金鉱石だ」



 素敵なひと時を過ごした後、ロウハム・ハット卿は、機関車たちに礼を言った。
「素晴らしい発見を してくれて ありがとう、スタフォード。そして かくれんぼを 提案してくれて ありがとう、みんな」
「しかし、仕事中の仲間を誘うのは いけませんな。スタフォードも 今度から 断るんだぞ」

以降、ミスティアイランドはとても忙しくなった。海賊の財宝は、アールズバーグの海洋博物館に寄付された。
洞窟の前では、小規模の事務所が建てられ、沢山の作業員や専門家が島にやってきては、金を精製するために採掘を行った。
中には、こっそり盗みを働く怪しい人物もいたが、バッシュ達が汽笛で知らせてくれるおかげで採掘の邪魔はされずに済んだ。
…一方、ロウハム・ハット卿は何か計画があるみたいだけど、それはまた次回お話することにしよう。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●バッシュとダッシュ

ファーディナンド

●スタフォード

●ロッキー

●トップハム・ハット卿

●ロウハム・ハット卿

●デリック(not speak)

●オリバー(cameo)

●ハーヴィー(cameo)

●チャーリー(cameo)

●トード(cameo)

●ジャック(cameo)

●フリン(cameo)

●トーマス(mentioned)

●トロッターさん(mentioned)

 

 



↑P&TIのミスティアイランドの地図。赤色は本線、青色は支線や業務用の線路。

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2015年に投稿した記事を再編集した物です。