Z-KEN's P&TI Studios

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

P&TI S14 E12 おしゃべりチャーリー

 タンク機関車のチャーリーは、みんなを笑わせることが大好きだ。

彼はよく、仲間の前で冗談を言っていた。

「やあ、エドワード。ピッピッ、ピュイ、っていう音が 機関車から鳴りました。それは なんででしょう」

「うーん、なんでだろう」

「汽笛と一緒に 機関士が口笛を吹いたのさ」

「その冗談、本当に面白いね。気に入ったよ」

でも、彼はいつも自分の好きなタイミングで仲間に言うだけではなかった。

 

 ある日、クレイピッツで働くティモシーが、ソドー整備工場に運ばれることになった。

双子の機関車ビルとベンが引き起こした事故に巻き込まれたのだ。

彼のボイラーはボコボコに歪み、走るには危険な状態となっていた。

ビルとベンは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。彼らはどっちが悪いかで喧嘩になり、マリオンが仲裁に入ったが、結局謝ることができなかった。

「みんな、そんなに落ち込むなって。ビクターなら、すぐに 直してくれるさ」

ディーゼル機関車のデリックが彼らを元気づけようとした。だが、採掘場は気まずさが増すのみだった。

 

ティモシーがソドー整備工場に運ばれると、故障車を運ぶエドワードに会った。

彼はティモシーから事情を聞いた。

「事故のこと、気の毒だったね。双子のことは 僕から謝るよ」

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P&TI S14 E11 ハンクのあたらしいしごと


 大きな体を持つハンクは、遠くアメリカからやってきた蒸気機関車だ。

ソドー島で働くにはあまりに大きいが、大量の貨物を長い旅路で牽かせられると踏んだトップハム・ハット卿は、彼を本土への連絡列車として任せる事にした。

ところが、その分重量もあり、来島して間もなくソドー整備工場へ運ばれたのだった。

 


 それから何年か経って、ハンクは改良され、線路に復帰した。

「本土の路線も順調に走れるように、少し軽量化を施したんだが、速度とパワーは問題ないはずだぞ」

「ペンキもピッカピカですよ、ボス! …じゃなくて、ハンク」

「ありがとう、ケビンにビクター! 君たちは 最高のチームメイトだ」

 

 ハンクはいつも大袈裟な言い方をするが、彼にとっては、いつでも本気だった。

ある日の昼のことも。

ハンクは大きな駅で、トップハム・ハット卿に任された長編成の貨物列車を牽くところだった。

彼はあたりを見渡した。自分より小さい機関車達が客車や重たい列車を引っ張って忙しそうに走っている。

そこで、久しぶりに会ったトーマスに言った。

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P&TI S14 E10 ノーマンとデニス (再投稿版)

※この記事は、2018年6月4日に以前のブログで投稿したものを再編集したものです。

 


 操車場で働くデニスとノーマンは、双子の機械式ディーゼル機関車だ。

姿かたちはよく似ているが、何といっても、顔も性格もボディの色もまるで違うのが特徴的だろう。

灰色のボディのデニスは怠け者で、気分によっては時々仕事をほったらかしにすることがある。

対して、赤いノーマンは素直で働き者だが、よく故障する。彼にとって、それが悩みの種だった。

 


 ある忙しい日、ディーゼル整備工場が改修で使えなくなったので、修理が必要なディーゼル機関車はソドー整備工場で受けることになった。

ノーマンもその中の一台だった。2階から落ちて身体全体が壊れてしまっていたのだ。

ヘンリーによって貨車で運ばれた後、転車台で方向転換をしてもらっていると、双子のデニスがノーマンに会いに滑り込んできた。

「ノーマン、頼みがあるんだ。クロヴァンズ・ゲートから 粘板岩の貨車を本土まで運ぶ仕事を 代わりにやってくれないか。僕、頭が 痛いんだよう」

彼の言葉にノーマンは呆れてこう言った。

「君は 盲目か。君には 今、僕が完璧な状態に 見えるんだな」

「デニス。あなたが 任されたのでしょう。なら、たまには 自分で頑張ってみなさいよ」

と、メイビスも注意すると、デニスは言い訳を残してきまり悪そうに工場を去って行った。

「ちょっと 冗談を 言ってみただけだってば…」

 


「―ノーマンが壊れなければ 上手く行くと 思ったんだけどなあ」

クロヴァンズ・ゲート駅にやってきたデニスは貨車に連結しながらぶつくさ呟いた。

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P&TI S14 E09 ウィンストンそらをとぶ (再投稿版)

※この記事は、2018年2月2日に以前のブログに投稿したものを再編集したものです。

 


 ウィンストンはガソリンエンジンで動く、ノース・ウェスタン鉄道で唯一の軌道検測車だ。

ボディの色は明るい赤で見た目はとても小さく、昔の自動車のような形をしている。

軌道検測車というのは、線路の上を走ってレールが歪んでいないか点検するための車両だ。

また、人を乗せる為の簡素な貨車を一台だけ牽くことが出来る。何人かの作業員を乗せて線路の修理が必要な場所へ送り届けるのも彼の役目だった。

 


ふつう、レールの点検は夜の間に作業員によって行われる。

だが時々トップハム・ハット卿の線路の移動手段として使われる事がある。

しかも彼の運転ときたら、お世辞にも上手いとは言えない。

突然急発進したり、走行中に止まっては走り出したり。

自動車と違って簡素な造りが彼にとって逆に扱いにくいのだろう。

 


最もヒヤッとしたのは、ブレーキをかけるのが遅すぎて、ポイントのところでダートの貨物列車とぶつかりそうになった時だ。

トップハム・ハット卿が間一髪でウィンストンを後退させたおかげで事故は防げたものの、短気なダートはカンカンだった。

「気を付けるでやんす!」

「ごめんね、ダート。本当に ごめんね」

ウィンストンはトップハム・ハット卿が下手に見せないよう常に気を遣っていた。

 


 彼らはドタン、バタンと、ギクシャクな運転を繰り返し、なんとか無事にブレンダム港に辿り着いた。

トップハム・ハット卿が会議へ向かうのを見送った後で、彼は波止場の方でダートがいることに気が付いた。

ダートは仲間の前で愚痴を吐いていた。その声はウィンストンの方まで聞こえてくるぐらいの音量だ。

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P&TI S14 E08 パーシーとディーゼルとかじ (再投稿版)

※この記事は、2017年12月29日に以前のブログで投稿したものを再編集したものです。

 


 機関車や自動車などを動かすには人の手だけでなく燃料も必要不可欠だ。

蒸気機関車やクレーン車の多くは石炭と水。重油や薪を焚いて動かすものもある。

ディーゼル機関車軽油、そして自動車はガソリンのほかに軽油重油なども使うなど、種類によって様々だ。

他にも電気や電池、蓄えられた蒸気で動く物も存在するが、それ以外の主な車両は体の中でそれらの動力源となるものを燃やして動いているのだ。

 


 ある日、パーシーはファークァー駅の構内で石炭を補給していた。

これから3本の貨物列車を牽かなくてはならない。

そのため、助士はバンカーにいつもより多く石炭を積み込んだ。

それも、石炭置き場の石炭がすべてなくなるほどだ。

 


それから数時間が経ち、パーシーは2つ目の仕事に取り掛かった。

家畜のえさにする干し草を市場まで運ぶのだ。

男たちが線路の脇にある草を刈っては束ねて貨車に積み込んでいく。

間もなく、貨車いっぱいに干し草が積み込まれた。

男たちは草が飛び散らないようにシートを被せる。

「よし、さあ、出発しよう」

と、機関士がパーシーの機関室扉をポンポンと優しく叩いた。

だが、パーシーが走り出そうと蒸気を噴き上げたその時、問題が起きた。

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P&TI S14 E07 スタフォードとやさいバス (再投稿版)

※この記事は、2017年9月10日に以前のブログで投稿したものを再編集したものです。

 


 スタフォードは島で唯一の蓄電池機関車だ。

動力は電気。でも他の電気機関車のように架線から電気を受け取るのではない。

内蔵電池を充電することで数時間だけ走れるのだ。

また、スタフォードは音を立てずに走行できることでも有名だ。

動物が音に驚かないので、島の農夫たちのお気に入りでもあった。

 


 ある朝、彼は操車場でトップハム・ハット卿に呼び出された。

「トビーとメイビスが 修理の間 代わりに 採石場で働く 機関車が必要だ。君に任せてもいいかね」

「ええ、いいですとも。頑張ります」

スタフォードが元気よく応えると、トップハム・ハット卿も笑顔になって仕事の内容を説明した。

「まずは ヘンリエッタに 作業員を乗せて 採石場まで運んでくれ。それから トーマスのために 貨車を入換えてくれたまえ」

「お任せください。この仕事は 一度やってみたかったんです」

と、スタフォード。

彼がウキウキしながら充電装置の方へ走り出したその直後に、トップハム・ハット卿は首を傾げた。

「はて、何か 忘れている気が…」

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P&TI S14 E06 やっかいなディーゼルきかんしゃたち (再投稿版)

※この記事は、2017年8月22日に以前のブログに投稿したものを再編集したものです。

 


 デンとダートは、島の最東端、ヴィカーズタウンのディーゼル整備工場で働く2台のディーゼル機関車だ。

大きな車体のデンは努力家で工場のリーダーを務めている。

ダートは不器用で粗っぽいが彼の立派なアシスタント役だ。

2台は息ぴったりのコンビで、いつも一緒に仕事をしているが、時折離れて働くこともある。

そんな時は決まって互いに寂しがって心配したものだが、今では安定して出かけられる。

一日の終わりになればいつものように一緒に過ごせるとわかっているからだ。

 


 ある日の事、ディーゼル整備工場はいつもよりとても忙しかった。

工場内は修理が必要なディーゼル機関車に貨車、ありとあらゆる機械などでごった返している。デンは整備工場で見張りをし、ダートは部品積まれた貨車を操車場奥の倉庫や転炉から一生懸命運んでいる。

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