Z-KEN's P&TI Studio

プラレールとトラックマスターを用いた某きかんしゃの二次創作置き場

P&TI S13 ボコときけんなしま


 ある朝、ディーゼル機関車のボコが機関庫で目を覚ましたところへ、駅にトップハム・ハット卿がやってきた。
「おうい、ボコ。ちょっと こっちへ 来てくれんか」
ハット卿が呼び掛けるとボコはすぐにエンジンを動かして機関庫を飛び出した。
「なんでしょうか」
ボコが尋ねる。
「君に やってもらいたい仕事があるんだ。私の叔父、ロウハム・ハット卿が ミスティアイランドを 活性化させる計画に必要な鉄骨を、レスキューセンターと ミスティアイランドまで それぞれ 運んでくれたまえ。島に到着したら、彼が 君に 指示を出してくれることだろう」
「わかりました。でも 本線の仕事は誰が」
「デリックが 代わりに 引き受けてくれる。さあ 出発の準備を してくれ。貨車は クロスビー駅に あるぞ」
ボコはミスティアイランドへ出張するのは初めてだった。
島の事は他の機関車たちから聞いてはいたが、どれも悪い噂ばかりだ。
とくにバッシュとダッシュファーディナンドは、とても変わっている。それは彼もよく知っていた。
彼は内心、心配で心配で仕方なかった。



 貨車を受け取りに隣の駅へ行ったボコは、転車台で方向転換していると、スクラフがやってきて給水塔の前で止まった。
スクラフも浮かない顔をしているボコに気が付いた。
「どうしたんだい。らしくないじゃないか」
スクラフが声をかける。
ミスティアイランドへ 行くことに なったんだ。だけど そこは"危険な島"って 聞くから ちょっと心配でね。君は あの島に 行ったことは あるかね」
「残念だけど 僕もないよ。でもヒロが 行ったことがあるって 言ってたな。美しい島だってね。そう 暗くなるなよ。バッシュ達は 変わってるけど 悪戯はしないだろう」
「そうか。行ってみないと わからないよね」
『なんとかなる。貨車を運ぶだけだ』
そう、自分に言い聞かせながら、沢山の貨車を牽いてミスティアイランドを目指した。



鉄骨を積んだ貨車が半分切り離され、隣の島へ繋がる長い長い海底トンネルをガタゴトと走った。
一面真っ暗闇の空洞をひたすら走り続けること40分。目の前に、とうとう明るい光が見えてきた。出口だ。
トンネルを出るとそこは一転して鬱蒼とした森の中だった。ソドー島の風景とは大違いで、家屋だけでなく平地もほとんど見当たらない。
凛として立つ木々は、太陽の光に照らされて輝いている。左には北大西洋が広がっていた。自然に囲まれている。
「スクラフの言う通りかも しれないな。ここは 空気が澄んでいて 美しい場所だ」



 ボコが最初の駅に到着すると、待っていたロウハム・ハット卿が明るく歓迎した。
ミスティアイランドへ ようこそ。今日は 何をして 遊ぼうか。かくれんぼか、それとも おにごっこか」
「え、あの…」
まるで老けた子供のような唐突な対応に、ボコは戸惑った。
「ハッハッハ、冗談だよ。スティーブンから 話は聞いているよ。長い貨車を ここまで牽いて、ご苦労だったね。もう一つ 君に やってもらいたいことが あるんだ。それはだな…」
と、そこへ、3台の機関車が陽気に「ポッポー、ポッポッポー!」と、けたたましく汽笛を鳴らして駅に滑り込んだ。
バッシュとダッシュ、それからファーディナンドだ。
「やあ、ボコ。久しぶり」
と、バッシュが、
「また会えて、とっても嬉しいよ」
と、ダッシュが、
「その通り!」
と、ファーディナンドが、元気よくあいさつをした。
ボコも気さくに警笛であいさつをする。



「実は おいらたち、君のために この島を案内しようって 思ってるんだけど…」
「どうだい。楽しいよ。きっと、気に入るって!」
「その通り」
3台が続いて陽気にに声をかける。だがボコは遠慮した。
「だけど 僕は これから 追加の仕事を やらなくては」
「まあまあ、いいじゃないか。少しくらいなら 遊んでもいいぞ。何しろ時間は たっぷりあるからな」
と、ロウハム・ハット卿。
それを聞いて3台は嬉しそうに万歳三唱した。
「それじゃあ、俺たちについてきて」
ファーディナンドが言った。
ボコは「やれやれ」と、溜息をついて彼らの後を追う。



 まず彼らは、ボコを材木の集積所へ案内した。交差点の多い大きな駅だ。ボコは物珍しそうにそわそわと辺りを見回す。
あちこちには木でできた建物が不安定に建っており、何年もほったらかしにされているかのように、ゴチャゴチャしていた。
「おいらたちは いつも ここで働いているんだ。木を受け取ったら あそこの製材所で 材木を作ったり、…」
「あそこのタンクで 燃料を 補給したりするんだ。奥には おいらたち専用の機関庫も あるんだぜ」
バッシュとダッシュが言った。



 次に彼らが案内したのは、伐採作業員の小屋の前。
そこには2体のクレーンが、ガタガタ揺れながら丸太を持ち上げていた。
「あれは オールド・ウィージーと ヒーホーだよ。木を積み上げるログ…ログ…」
ファーディナンドが言うと、
「ログ・ローダーマシンさ。ここで 伐採した木を おいらたちが運んで 集積所に 持っていくんだ」
ダッシュが口を挟んだ。
「その通り。それと 一つ忠告があるんだけど…」
と、その時、オールド・ウィージーがゼェゼェと息を切らしながら丸太を持ち上げると、貨車ごと適当に森の中へ投げ飛ばした。
貨車が落ちた衝撃で、放置されていた丸太が小屋へ降り注ぐ。
重い丸太に押しつぶされて小屋は木端微塵に砕けてしまった。
「今みたいに、彼らは 貨車を投げるから 注意が必要なんだ」
ボコは身震いした。



「気を取り直して、今度は あの橋を渡って 倒木トンネルに 行くよ」
ダッシュが言った方を見ると、そこにはグラグラ橋というとても古そうな橋があった。
木でできた柱は殆ど砕けており、橋は風に煽られゆらゆらと揺れている。
橋の下では濁流が丸太を押し流し橋の下に集めていく。ボコは震えあがった。
「でも、待つんだ。その橋は 危ないよ。今にも 壊れそうじゃないか」
彼は険しい表情で言った。すると3台の機関車は笑い出した。
「平気さ。もう 何十年も この状態だけど 壊れたことなんて 一度も ないよ」
と、ダッシュが意気揚々と橋を渡った。
「それが 問題だよ。だって…」
「大丈夫。見た目は 脆そうだけど 意外と 頑丈なんだよ」
と、バッシュがスピードを上げて乱暴に渡る。ボコは見ていられない。



「その通り! ほら、ボコも わたってごらん。すごく 楽しいよ」
ファーディナンドが後ろ向きで平然とグラグラ橋を渡りながら言った。
ところがボコは、怖くなってしまい、一目散に元来た道へ逃げ出してしまった。
「やっぱり 噂は 正しかったんだ。ここは とっても危険な島だ…」
彼はこの3台の機関車がだんだん怖くなってきた。それどころか一刻も早くロウハム・ハット卿の計画を中断させるべきだ、そう思いながら彼を探した。

 

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 ボコが戻ると、そこにはウィンストンに乗ったロウハム・ハット卿が、作業の準備をしているところだった。
「おや、もう お遊びは 済んだのかね」
「ロウハム・ハット卿、あなたに お聞きしたいことが あります」
「何でも 言ってみなさい」
「失礼ですが、僕には あなた方が ここを観光地として発展させようとする理由が わかりません。ここは あちこちが不安定で 危険です。とくに 客車を牽いて あのグラグラ橋を渡ったら、いつか 壊れてしまいますよ。この島のクレーンも 何を しでかすか わかりませんし…」
ボコは真剣な表情でいった。ロウハム・ハット卿も、珍しく真剣にそれを聞いていたが、ボコが話し終わると笑い声をあげた。
「ハッハッハ。心配には 及ばん。旅客列車が通る線路は 材木集積所では ないからね」
彼はウィンストンに乗り込むとボコにこう言った。
「ついてきなさい。そんな君に 路線を 案内しよう。きっと 気に入るぞ」



ロウハム・ハット卿は滑らかな運転を見せながら、島の外回りの線路を案内した。
そこはヒノキの森と北大西洋を一度に見渡せる穏やかな道のりだった。
彼の言ったとおりボコはその路線をとても気に入った。さっきまでの硬い表情はどこへやら、すっかり落ち着いて目を輝かせている。
「素敵な路線ですね。ここなら 静かで 空気も きれいだし、グラグラ揺れる心配も ない」
「君なら わかってくれると 思ったよ」
ロウハム・ハット卿も明るい笑顔を見せた。
こうしてボコは喜んで作業に取り掛かった。今では普及を心から望み仕事に取り組んでいる。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●バッシュとダッシュ

ファーディナンド

●スクラフ

●ボコ

●トップハム・ハット卿

●ロウハム・ハット卿

●ウィンストン(not speak)

●オールド・ウィージー(not speak)

エドワード(cameo)

●ジェームス(cameo)

●ネビル(cameo)

●ベル(cameo)

●デニス(cameo)

●ノーマン(cameo)

●ヒロ(mentioned)

●デリック(mentioned)

●ヒーホー(mentioned)

 

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2016年に投稿した記事を再編集した物です。

P&TI S13 ベルのめいあん


 ソドー島の機関車たちは、みんないつも忙しそうに働いている。中でも蓄電池機関車のスタフォードは、特に忙しかった。
普段はトーマスの支線や操車場で働いているが、彼は静かに走るのでしばしば動物を運ぶ仕事を任せられる時もあれば、炭鉱で働くこともあれば、ディーゼル機関車達の手が離せないときは、ファーディナンド達が用意した材木や鉱石を受け取り、海底トンネルを往復して貨車を運ぶこともある。



スタフォードは文句一つこぼすことなく働いていたが、内心は少しうんざりしていた。
島に戻ってきたときには、大抵トンネルの前にハット卿がいるので、一息つく余裕もないからだ。



その日も、材木の運搬でスタフォードが海底トンネルを通ってソドー島に帰ってくると、トップハム・ハット卿がウィンストンに乗って待っていた。
「マッコールさんが 羊を運んでほしいそうだ。充電が終わったら 向かってくれ」
「はい。わかり…ました…」



 長旅から戻ってきたスタフォードは、レスキューセンターの操車場で充電した。
そこへ、ベルが貨車を取りにやってきた。彼女は、浮かない顔をしたスタフォードを見て心配した。
「どうしたの スタフォード。元気ないわよ」
「ああ…。こんなことは 言いたくないけど、ここ最近、働き過ぎだと思うんだ。皆の役には 立ててるし、信頼されてるのは いいんだけど、疲れて 元気を出そうにも 出ないんだ」
ベルはスタフォードを気の毒に思った。
レスキューセンターは海底トンネルの目の前にあるので、彼女はいつもスタフォードが忙しそうにしているのを見ている。ベルは彼の力になりたかった。



 次の日、ベルはレスキューセンターを訪れたトップハム・ハット卿に、スタフォードのことを相談した。
「―スタフォードは 働き過ぎです。ほんの 小さな蓄電池機関車なのに 皆よりも忙しなくて、彼の顔が みるみる やつれている気がして…」
「確かに 君の言うとおりかもしれん。彼のために 空きの機関車の手配を するとしよう」
「なるべく 早くお願いします。でないと…」
その時、非常警報が鳴り響き、ブッチが滑り込んできた。


「フリン、ベル! キルデイン駅の近くで 火災が発生したぞ」
「軌陸消防車フリン、出動だ! 行こう、ベル」
ベルはまだ話がしたかったので、少し後ろめたい気持ちだったが、今は緊急事態だ。それどころではない。
「また後で話を聞くよ、ベル。さあ、行ってきなさい」



 やがて、長時間にわたる消火活動を無事に終えたフリンとベルは、キルデイン駅前で帰りの支度をしていた。先ほどの消火活動で、ベルのタンクには水が半分もなく、給水しなくてはならなかった。
そこへ、一台の電気機関車がベルに挨拶をした。それはスタフォードに似た形をしている緑色の車両だった。
「火を消してくれて、ありがとう」
「あらスタフォード。あなたも 来てたのね」
「ちがうよ。僕は この支線で働く、電気機関車のクエンティンだ。君と会うのは 初めてだね」
「あら、ごめんなさい。あたしは ベル。よろしく。ところで、あなたの屋根の上にある ジャッキは何かしら」



「これかい。これは パンタグラフさ。集電装置と云って、僕ら電気機関車は、あの電線から 電気を受け取りながら走るんだ。燃料は必要ない。この装置を上げて、架線にセットすれば、いつでも走行できる」
「それは すごいわね」
「だろう。だけど僕らは、あの架線が ないと 走れない。だから 君たちのように 島中を走り回ったり できないんだ。僕もいつか、この支線から 抜け出して、自由に  走り回ってみたいよ。無理なことは わかってるけどね」
クエンティンは少し悲しそうな顔をした。ベルが返事をする間もなく、車掌が笛吹くと、彼は警笛を鳴らして出発した。
「おっと、もう行かないと。またね、ベル。会えてよかったよ」
クエンティンと別れた後、ベルは突然閃いた。
「そうだ。海底トンネルに、電気を通せばいいんだわ。早速 トップハム・ハット卿に 報告しなくっちゃ!」
彼女は給水することをすっかり忘れ、ハット卿を探すため走り出した。



 レスキューセンターでは、すでにフリンが帰還していた。
「やあ、ベル。ずいぶん 遅かったじゃないか」
「ねえフリン。トップハム・ハット卿を 見なかった」
「ううん。帰ってきてからは 見てないよ」
「君たちが 出動した後、呼出しが あって すぐに 行ってしまったからね」と、ブッチ。
「そう。じゃあ 探しに 行ってくるわ」
そう言うと、彼女は再び走り始めた。



 エドワードの支線へ続く線路を走っていると、ちょうどハット卿の車がサドリー駅の方へ向かって走ってるのが見えた。
「やったわ。こんなに 早く 見つかるなんて」
車は跨線橋を渡ると、今度は港の方へ向かって走り出した。



ベルはハット卿の車を追った。
しかし、道路は常に線路沿いに続いてるわけではない。ベルがトンネルをくぐった後、車は途中で見えなくなってしまった。
彼女は、この先にハット卿の車がいることを願いつつ、あてもなく走り続けた。
いつの間にかベルは、ブレンダムの港まで来ていた。



「やあ やあ、ずいぶん 慌ててるようだな。どうしたんだい」と、ソルティーが陽気に声をかけた。
「トップハム・ハット卿の車を 見なかった? 彼に 報告があって…」
「さあな。まだ ここには 来てないみたいだぜ 相棒。クランキーは見えたかい」
「いいや、俺が見える道路じゃ、ダンプカーが数台通っただけだぜ」
「そう。ありがとう」
その時、問題が起きた。
彼女はクランキーの前から走り出そうとしたが、動けなかった。とうとうタンクの水を使い果たしてしまったのだ。ベルは慌てふためいた。



 すぐに、ポーターがベルを給水塔の前まで運んであげた。
「せっかく いい案を 思い付いたのに、トップハム・ハット卿と 会えないだなんて…」
「まあ、そんな日も あるさ。今日は ゆっくり休んで、待っていれば そのうち来ると思うよ。僕の機関助士が 連絡してくれるから」



 翌朝、トップハム・ハット卿がベルを訪ねにレスキューセンターへやってきた。
「昨日は 私に用があると 探し回っていたようだが、何か あったのかね」
「スタフォード達に 負担をかけない、いい方法を 思い付いたんです。ここから 海底トンネルを抜けた先のミスティアイランドまでの区間を、電化させるのは どうでしょう。電気機関車なら 燃料の補給も いらないですし、効率も良くなると 思うんです。クエンティンも、あの支線から出たがっていました」
「うーむ。確かに それは 名案だ。だが、残念ながら 私には 長い海底トンネルを 電化させるほどの財力は ないんだよ、ベル。トンネルを塞いで 運搬を 船に任せることなら できるが…」
「お金なら たっぷり ありますぞ」
そこへロウハム・ハット卿がスタフォードに乗ってやってきた。



「叔父さ…いえ、ロウハム・ハット卿。何故 そう 断言できるのですか」
「忘れたかね? 先週 スタフォードが 金鉱を 見つけてくれたじゃないか。あの後 分け前を頂いたのだよ。だから、ベル達の望みを聞くには 十分な金があるぞ、スティーブン」
それを聞いた機関車たちは汽笛と歓声を上げた。トップハム・ハット卿は少し考えると、スタフォードに言った。
「わかった。君には無理をさせて すまなかった。工事が終わるまでは 大型のディーゼル機関車に この仕事を任せる。明日は 支線で ゆっくり休むと いい」
「ありがとうございます」
こうして、海底トンネルを電化する計画が実行されたのだった。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●ベル

●ポーター

ソルティー

●スタフォード

○クエンティン

●フリン

●クランキー

●トップハム・ハット卿

●ロウハム・ハット卿

エドワード(not speak)

ファーディナンド(not speak)

●ウィンストン(not speak)

●ロージー(cameo)

●スタンリー(cameo)

ダッシュ(cameo)

ディーゼル(cameo)

●ボコ(cameo)

●ロッキー(cameo)

●キャロライン(cameo)

●ブッチ(cameo)

●トーマス(mentioned)

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2015年に投稿した記事を再編集した物です。

P&TI S13 ミスティアイランドのかくれんぼ

 
 ある日、スタフォードが操車場で貨車の入れ替えをしていると、トップハム・ハット卿が彼を訪ねた。
「スタフォード、苗木の貨車を ミスティアイランドまで 運んでくれ。それが終わったら、今度は ミスティアイランドで 材木を受け取って、トロッターさんの農場まで 運んでくれたまえ。嵐が 来る前に 頑丈な納屋が 必要だそうだ」
「承知しました。頑張ります」
「午後には 帰ってくるんだぞ。くれぐれも 寄り道は しないようにな」



レスキューセンター前では、苗木の貨車が彼を待っていた。
「貨車の用意は 整ってるぞ、スタフォード」と、ロッキーが声をかけた。
「ありがとう。でも まずは 充電しなくちゃ。何しろ 長旅だからね」



充電を終えたスタフォードは、貨車を連結し、海底トンネルをガタゴトと進んでいった。長い長いトンネルを何時間かかけて通り抜け、ミスティアイランドに到着した。
「今日は、晴れてるな」



 苗木を届け終えると、今度は材木の貨車を受け取りに、駅の前で停車する。
そこにはバッシュとダッシュファーディナンドもいた。
「やあ、スタフォード。ちょうど よかった。おいらたち、これから 3台で かくれんぼするんだけど、君も 一緒に やらないか」と、ダッシュ
「君は おいらたちと違って、音を立てない機関車だから、きっと 楽しくなるよ」と、バッシュ。
「その通り」と、ファーディナンドも相槌を打った。
「残念だけど、それは できないよ。トロッターさんが この材木を 待ってるんだ」
「なんだよ。つまんないな」



でもスタフォードはつまらないと思われたくなかった。
それにバッシュ達を拗ねさせると、暫く口をきいてくれなくなることをトーマスから聞いていたので、彼は仕方なく決断した。
「一回だけなら、やってもいいかな…」
「そうこなくっちゃ。オニは ファーディナンドが やるから、おいらたちは 隠れよう」
「ようし、早速数えるぞ!」



 ファーディナンドが残って数え始めると、バッシュとダッシュ、そしてスタフォードはグラグラ橋を渡り、隠れる場所を探した。
ダッシュは側線の茂みに、バッシュは製材所の方へ向かった。
スタフォードも隠れる場所を探して走り回った。
「急いだ方が いいよ。ファーディナンドは、よく 数え間違いを するんだ」



暫く走り回っていると、スタフォードは山の麓にある側線を見つけた。
そこは他の線路に比べて長い間整備されていないようで、線路は錆びついている。奥には暗い洞窟があって蔦が絡み付いていた。
「こりゃ いいや」
彼はそうつぶやくと蔦を掻き分けながら洞窟へ入り込んだ。



中は真っ暗で何も見えない。そこで彼は2つのランプを点灯させ、辺りを見回した。すると、目の前にとんでもないものを発見した。
そこにはなんと、金銀の財宝や、エメラルドなどの宝石が、ドクロの黒旗と一緒に散りばめられていた。
「すごいぞ。すぐ みんなに 知らせなくちゃ」
彼は、かくれんぼの事なんかすっかり忘れて、大慌てでみんなの元へ向かった。

 

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 ダッシュのひそむ茂みでは、ファーディナンドと、既に見つかったバッシュがきょろきょろと辺りを見回していた。彼らはダッシュを見つけられないようだ。
いい調子だったので、ダッシュは、しめしめとにんまりした。しかしスタフォードがけたたましく警笛を鳴らしながら走ってきた。
ダッシュ、バッシュ!」
「あ、スタフォードと ダッシュ、めーっけ!」
「もうスタフォード。何やってるんだよ…」と、ダッシュ
「ごめん、忘れてた。それよりも、すごいニュースが あるんだよ」
その時、問題が起きた。トップハム・ハット卿がデリックに乗ってやってきたのだ。彼はカンカンに怒っている。
「スタフォード。帰りが遅いから 心配してきてみたら…、いったい 何を やっているのだね」
「ごめんなさい。その…、バッシュ達に 誘われて…遊んでました…」
ハット卿が次のお小言を言う前に、そこへミスティアイランドの局長を務めているロウハム・ハット卿も、トロッコに乗ってやってきた。
「一体 何の騒ぎだね」
「かくれんぼを していたら、スタフォードが 警笛を鳴らして、おいらの居場所を オニに 知らせちゃったんです」と、ダッシュ
「それは いかんな。ルールを破っちゃ だめだぞ スタフォード」
「あの、叔父様…」
「そんなことより、みんなに 見てもらいたいものが あるんです。良かったら、トップハム・ハット卿も ご一緒しませんか」



 材木の運搬はデリックが引き受けてくれることになり、トップハム・ハット卿とロウハム・ハット卿は、スタフォードの案内で洞窟にやってきた。
「こんなところに 洞窟へ続く線路が 敷かれていたとは…。ワクワクしますな」
「おいらたちは 気づいてたよ。でも 一度も 入ったことない」と、ダッシュ
「だって トンネルは "キケン"だもの」と、バッシュ。
「その通り。もう埋もれるのは 勘弁だよ」と、ファーディナンド
中に入ると、スタフォードはランプを点灯させた。
トップハム・ハット卿や機関車たちは目の前の光景に驚いた。
「これは たまげた。財宝ではありませんか…」
「恐らく これは 海賊の財宝ですぞ。ほら、あそこに 三角帽子と それらしい骸骨と服が。サーベルや 旗もある」
更に彼らは懐中電灯を取り出し、辺りを見回した。
すると、またしても驚きの発見があった。
「君! 見たまえ、この岩壁を。金鉱石だ」



 素敵なひと時を過ごした後、ロウハム・ハット卿は、機関車たちに礼を言った。
「素晴らしい発見を してくれて ありがとう、スタフォード。そして かくれんぼを 提案してくれて ありがとう、みんな」
「しかし、仕事中の仲間を誘うのは いけませんな。スタフォードも 今度から 断るんだぞ」

以降、ミスティアイランドはとても忙しくなった。海賊の財宝は、アールズバーグの海洋博物館に寄付された。
洞窟の前では、小規模の事務所が建てられ、沢山の作業員や専門家が島にやってきては、金を精製するために採掘を行った。
中には、こっそり盗みを働く怪しい人物もいたが、バッシュ達が汽笛で知らせてくれるおかげで採掘の邪魔はされずに済んだ。
…一方、ロウハム・ハット卿は何か計画があるみたいだけど、それはまた次回お話することにしよう。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●バッシュとダッシュ

ファーディナンド

●スタフォード

●ロッキー

●トップハム・ハット卿

●ロウハム・ハット卿

●デリック(not speak)

●オリバー(cameo)

●ハーヴィー(cameo)

●チャーリー(cameo)

●トード(cameo)

●ジャック(cameo)

●フリン(cameo)

●トーマス(mentioned)

●トロッターさん(mentioned)

 

 



↑P&TIのミスティアイランドの地図。赤色は本線、青色は支線や業務用の線路。

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2015年に投稿した記事を再編集した物です。

P&TI S13 ジェームスとおおゆき

 ある冬の日、ソドー島は吹雪に見舞われた。一日中降り積もると思われたが、幸いにも、つかの間の晴天により厚く積もった雪も薄くなり、ドナルドとダグラスが懸命に除雪したおかげであっという間に線路から雪が消えた。
しかし油断は禁物だ。午後から明日にかけて吹雪になると予報が出ている。トップハム・ハット卿は蒸気機関車たち全員に雪かきをつけるよう命じた。


 皆が浮かない顔をして雪かきをつける中、ジェームスはずっとウキウキしていた。何故なら久しぶりに急行列車を引っ張ることになったからだ。
彼は出発の準備していたパクストンに自慢した。
「見てくれよ。雪に映える 僕の真っ赤なボディ。素敵だろう」
「ええ、ジェームスさん。真っ白な 雪の上だと、いつもより 輝いて見えますね」
「そうだろう。それに比べて 君のように 地味なディーゼルは、雪の上に いたとしても 目立たなそうだけど」
嫌味を言われ、パクストンは黙り込んでしまった。それを見ていたクランキーは呆れかえった。
「自慢をしに来ただけなら とっとと失せろ ジェームス。ソルティーの邪魔に なってるぞ」



ジェームスは、ぷんぷんしながら港を出ると、操車場で待っている急行客車の元へ向かった。雪かきを無視して客車と連結する。
そこへドナルドとダグラスがやってきた。彼らは雪かきをつけずに走ろうとするジェームスに驚いた。
「どうだい。かっこいいだろう。急行列車の お通りだぞ!」
「雪かきは付けないのですか」
「君たちが すでに 除雪したから 大丈夫さ」
「だけども、そろそろ、雪が降りそうな気配がしますよ。ほら、匂うでしょう。雪の匂いが…」
「雪の匂いだって。とうとう君も やられたね」
ドナルドとダグラスの忠告も聞かず、ジェームスは颯爽と走り出していった。
双子は心配そうな眼差しで港を出ていくジェームスを見送る。



ジェームスは双子の話をあまり信用していなかった。だけど、ダグラスの勘はピシャリと当たった。晴天の空はみるみるうちに暗くなり、大粒の雪が降り始めた。
始めはちらちらと舞い降りてくる程度だったが、次第に吹雪に変化した。
「こんな雪くらい、どうってことないさ」
だが、それは大きな間違いだった。



彼は案の定、降り積もった雪で立ち往生してしまったのだ。
クランクを力いっぱい動かしても、車輪は空回りしてどんどん埋もれていくだけだった。



 間もなく、トーマスが救援列車を牽いて駆けつけた。同乗していたトップハム・ハット卿は不機嫌そうだ。
「ドナルドとダグラスの忠告を 聞かなかったそうだな。君のせいで 混乱と遅れが 生じたぞ」
吹雪がやむと、作業員たちはすぐに線路の雪を片付け、ジェームスを掘り起こした。
客車はドナルドとダグラスが引き受けることになった。



一方、ジェームスは、大きな町の駅まで貨物列車を牽くよう命じられた。
結局、重い雪かきをつけ、不機嫌そうにボッボッと蒸気を噴き上げながら、本線をガタゴトと走っていく。
雪は場所によっては沢山積もっており、とくに山の近くでは自動車が立ち往生するほどだった。バーティーを助けに来たブッチまで動けなくなっている。



 ウェルズワース駅を過ぎると、線路わきに刺さる赤旗が目に入った。パクストンが立ち往生している。
「ジェームスさん。お願いが あるんですけど、この雪の壁から 引っ張り出してくれませんか。村の人たちが、この石炭と 薪を 待っているんです」
機嫌の悪いジェームスは、面倒だったので彼を放っておこうと思った。だけど彼の機関士は、待っている人たちのことを考えると、居ても立っても居られず、「俺たちが 一緒に 引っ張っていこう」と、言った。
ディーゼル機関車と 連結するんですか」と、ジェームスは不満げに唾を吐いた。
「行先は同じ方向だし、ほっとくわけにも いかないだろう。それに、トップハム・ハット卿から ご褒美がもらえるかもしれないぜ」
「しょうがない。わかったよ」
「よろしくお願いしますね」と、パクストン。



 パクストンの列車は雪から引っ張りだされた後、ジェームスと貨車の間に繋がれた。
雲行きが再び怪しくなったと思うと、また雪が降り始めた。
ジェームスは、めげずに除雪しながら走り続ける。
稲妻が光り、雹がコツコツとジェームスとパクストンのボディに激突する。彼らは悲鳴を上げた。
機関士は急がなければならないと思った。



激しい吹雪のおかげで辺り一面、白一色になり視界が悪くなった。
勇ましく進んでいたジェームスの足取りもだんだん遅くなっていく。
「前が 全然見えないよ!」
そして分厚い雪に立ちふさがれ、再び立ち往生してしまった。



 カーク・マッシャン駅では、トップハム・ハット卿とドナルドとダグラスが、彼らを心配していた。
「パクストンの到着が 遅れているな…」
「ジェームスの通過も まだみたいです」
「この吹雪ですからね。やっぱり事故に あったのではないでしょうか」
「彼らが心配です。私たちで様子を見に行きましょう」
「だめだ。今 出歩くのは危険すぎる。君たちは 吹雪が やむまで そこの機関庫で待機していなさい」



 その頃ジェームスは、身動きが取れない状態に陥っていた。
あまりの寒さに給水口のふちが凍ってしまい、元気が出ない。
その時、パクストンは、いいアイディアを思い付いた。
「僕が、ジェームスさんを押します。そうすれば きっと 雪の壁を突っ切れるはずですよ」
「でも、君は動けないんだろう」
「安心してください。雪かきはないけど、燃料は まだ いっぱい残ってますから」
こうしてパクストンの連結が切り離され、彼は貨車と共に一旦後ろに下がった。パクストンは、プスン、プスン。ブルブルブル…と、身体を震わせ唸らせ、出力いっぱいで極寒に立ち向かう。そして警笛で合図すると、助走をつけて、思いっきりジェームスの炭水車に体当たりした。
するとジェームスは勢いよく雪の壁を突き破り、雪を押しのけて進んでいった。
「やった、すごいぞ!」
ジェームスは嬉しくて歓声を上げた。パクストンも誇らしそうに警笛を鳴らす。



再び連結をすると、彼らはそのまま出発した。パクストンがジェームスを押し、ジェームスは雪をかき分けて進んでいくのだ。
スピードは思うように出せなかったが、力強い走りを見せた。
いつの間にか吹雪がやんだおかげで、ゴードンの丘も楽に超えることができた。



マロン駅を通過した頃には、ジェームスの調子も良くなっていた。
協力して走っている彼らを見て、様子を見に来た双子は安心した。
「ご無事で 何よりです。お二方とも、ゴールは すぐ目の前ですよ!」
「ありがとう、ダグラス。よし、頑張るぞ」



 遂に、パクストンの目的地に到着した。待っていたトップハム・ハット卿は安堵の表情と共にとても誇らしそうだった。
「よくやったぞ、ジェームス。パクストンの列車ごと ここまで引っ張ってきて、大変だっただろう」
「とんでもない。途中で 動けなくなった僕を、パクストンが 押して 助けてくれたんです」
「そうか そうか。2台とも よく頑張ったようだな。明日 朝一番に、ソドー整備工場に 行きなさい。君たちの ペンキを 新しく塗り替えてやろう」


後になって、ジェームスは、再びカーク・マッシャン駅に戻ってきた。彼はきまり悪そうにパクストンに礼を言った。
「さっきは ありがとう。酷いこと言って ごめんよ。君の 緑色のボディは、雪の上じゃ 僕と同じくらい 目立って綺麗だよ」
「ああ、あのことは もういいんです。僕、気にしてませんから、ふふ。それに、ジェームスさんには かないませんよ」
それ以降、2台は仲良しになったのだった。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●ジェームス

●ドナルドとダグラス

●パクストン

●クランキー

●トップハム・ハット卿

●ジェームスの機関士

●トーマス(not speak)

ソルティー(not speak)

●バーティー(not speak)

●ブッチ(not speak)

モリー(cameo)

●スタンリー(cameo)

●ポーター(cameo)

●デン(cameo)

バイロン(cameo)

●ゴードン(mentioned)

 

 

脚本: ぜるけん

画像編集: NWP

※これは2015年に投稿した記事を再編集したものです。

P&TI S13 スタフォードのだいかつやく


 スタフォードは、島で唯一の蓄電池機関車だ。
燃料は内蔵された電池を充電すること。電気機関車なので、石炭も水も、ディーゼルオイルも必要ない。一度の充電で最大6時間も走行することができる。
とても静かに走るので、島中の農夫たちのお気に入りだった。



 ある朝、スタフォードは平台貨車を受け取る為ブレンダムの港に来ていた。そこでジェームスに会った。彼は警笛を鳴らして挨拶をする。
「やあ、ジェームス。おはよう!」
「うわあ! もう、スタフォード。君は 静かだから いきなり声を かけられたら びっくりするよ」
「ごめん ごめん。走ってきたのに 気付かなかった?」
「ああ、そうとも。大体 君は トビーみたいに 薄汚いくせに チヤホヤされすぎだ。のろまで 人を 待たせてばかりいるのに、どうして そう トップハム・ハット卿に信用されてるのか 理解できないよ」
彼はつんと下唇を持ち上げながら走り去っていった。
それを見ていたポーターは浮かなそうなスタフォードを慰めた。
「気にすることないさ。ジェームスは ただ やきもちを やいてるのさ」
「わかってるよ ポーター。僕は 全然気にしてなんか いないよ」
だけども、自分の欠点ばかり貶されたのは少しショックだった。



ジェームスが駅構内に到着すると、ちょうどトップハム・ハット卿がやってきた。
彼は嫌な予感を察知した。
「もしかして、また 貨車を 牽かせるんじゃないでしょうね?」
「その通りだ、ジェームス。ノーマンが故障で動けなくなった。すまないが 代わりに 君が 炭鉱に行って、石炭の積んだ貨車を 10両ほど 運んでくれたまえ」
「でも、それじゃあ 僕の 真っ赤なボディが もっと 汚れちゃいます。客車の仕事なら、喜んで やりますよ」
「選り好みを するんじゃない。仕事が終わったら ボディを洗ってあげるから 安心しなさい」



 一方、スタフォードは、まだ港にいた。空きの貨車が手配されるまで、入れ替え作業を手伝っていたのだ。ポーターが再び気さくに声をかけた。
「まだ ジェームスのことが 気になる?」
「え。いや、そんなことは ないよ。でも、ちょっと ショックだったね」
「ジェームスは 他を 見る目が ないのさ。君は 環境に 優しい機関車だ。石炭も オイルも 架線なんかも いらないし、僕らと違って 匂いや 排出物も 出さないんだから。それって、すごく 重要なことだよ」
「そうかな?」
「そうさ。架線が無いところも、僕らが 長く入ることのできない海底トンネルだって、君なら 楽に進めるだろう? さあ、行っておいで」
こう言われて、スタフォードは少し元気が出た。平台貨車を何台か受け取ると、レスキューセンターを目指して出発した。



レスキューセンターに着くと、彼は一旦操車場に入った。とても深い海底トンネルを長時間くぐるので、電池をフル回復させるため充電するのだ。
作業員がプラグを差し込む。充電している間スタフォードは、ポーターの言ったことをずっと思い返していた。



 その頃、ジェームスは本土の炭鉱にたどり着いたところだった。
双子のディーゼル機関車スプラッターとドッヂもそこにいたので、ジェームスはさらに機嫌が悪くなった。双子もジェームスを見て機嫌を悪くした。
「とっとと 石炭の貨車を集めて 用意しろ。僕は すぐにでも こんなところから おさらばしたいんだ」
「言われる前から やっとりますよ」と、スプラッター



 しばらくして、石炭の貨車の準備が整った。
「よーし、これで ここも 見納めだ」
ところが、炭鉱夫は出発しようとするジェームスを止めた。
「この貨車は スプラッターとドッヂが 運ぶための物だ。君は 残って 次の貨車を 待ってくれ」
「なんですって」
スプラッターとドッヂがにやにやしながら石炭の貨車を牽いて出ていくと、炭鉱はジェームスとたくさん並んだ空の貨車だけになってしまった。
残ったジェームスは苛立ちを隠せない。一刻も早くここから出たくてしょうがないのだ。
彼はドスンと貨車に当たり散らした。すると貨車達はジェームスに突き飛ばされ、炭鉱の奥へ奥へと入り込んでしまった。
「大変だ」



幸い、脱線することはなかったものの、貨車たちはジェームスの手の届かない場所まで追いやられている。
ジェームスはすぐに貨車を追いかけようとしたがまたしても炭鉱夫達に止められた。
蒸気機関車なんかが入ったら 引火する危険性がある。手押し車か 何かは ないか?」
「だめです、炭鉱の手押し車は 先日 サムソンが 誤って 処分してしまったようで…」



 トップハム・ハット卿がナップフォード駅のオフィスでくつろいでいると、電話がかかってきた。炭鉱の親方からだ。
「―わかりました。すぐに スタフォードに 向かわせます」
彼は車に乗り込むと、急いで海底トンネルへ向かった。
スタフォードがトンネルへ入ろうとした時、線路に赤旗があるのが見え、彼は停車した。
「炭鉱の中に貨車が 立ち往生した。すぐに 救出に 向かってくれたまえ」



スタフォードを待っている間、炭鉱夫たちはせっせと奥で立ち往生している貨車に石炭を詰め込んでいた。
ジェームスは後悔もしていたが、同時にイライラしていた。
充電を終えてスタフォードが炭鉱に到着した頃にはすっかり夕暮れ時だった。



そんなジェームスを横目に置いて、スタフォードは炭鉱の中へはいっていく。
2つのランプを点灯させ、奥で立ち往生している貨車たちを見つけ出した。
「あったぞ!」



貨車に石炭がいっぱいに積み込まれると、スタフォードが石炭の貨車と共に立坑から出てきた。ポーターの言った通り、蒸気機関車や他の電気機関車にはできないことを彼は成し遂げたのだ。
ついでに彼は、ぱぱっと入換えをして、ジェームスが運ぶ貨車の列につないだ。



ジェームスは、面目丸つぶれだった。
彼は恥ずかしくなり、スタフォードだけに聞こえるよう小声で謝ると、石炭の入った大量の貨車を牽いて走って行った。
スタフォードは蒸気も出さなければ架線も必要ない、島中で他にはない特別な役に立つ蓄電池機関車であることを改めて証明したのだった。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●ジェームス

●ポーター

スプラッター

●トップハム・ハット卿

●親方

●鉱夫 

●ドッヂ(not speak)

●パーシー(cameo)

●ダック(cameo)

●ネビル(cameo)

●スタンリー(cameo)

●チャーリー(cameo)

ディーゼル(cameo)

●パクストン(cameo)

●ロッキー(cameo)

●クランキー(cameo)

●トビー(mentioned)

●サムソン(mentioned)

●ノーマン(mentioned)

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2014年に投稿した記事を再編集した物です。

P&TI S13 グレート・ウェスタンりゅう


 ある日、ダックが客車を牽いて自分の支線を走っていると、駅でハット卿がいることに気付いた。
ちょうど停車駅だったので、彼と話をすることができた。
「おはようございます、トップハム・ハット卿」
「やあ ダック。待っていたよ。君に とても特別な仕事を 任せようと思っているんだ」
それを聞いて、ダックはワクワクした。
「実は 3日後に、本土から キング・エドワード1世の 特別列車が 訪問することになった。アールズバーグ・ウエストで イベントを開くんだよ。そこで君に、彼が ティッドマスまで来たら、彼の先導をとって 走ってもらいたいんだ」
「わあ、ありがとうございます。グレート・ウエスタン鉄道の仲間を、お出迎えするなんて 感激です!」
彼は嬉しくてたまらなかった。



 その日の午後、オリバーは、ダックと重連で貨物列車を引っ張ることになった。ダックは誰かと喜びを分かち合いたくてウズウズしていた。
「ねえオリバー、僕が トップハム・ハット卿に どれだけ信頼されてるか わかるかい。僕はね―」
「ふーん、そうかい」
彼には、それがただの自慢にしか聞こえなかった。



 次の日、アールズバーグ線の機関車たちは、イベントの準備に取り掛かった。しかし、イベント関連の仕事はダックが全て持って行ってしまい、残ったオリバーは貨車の入れ替えを任された。
「どうして僕だけ いつものように 貨車の入れ替えをしなくちゃならないんだ」
「お気持ちは お察ししますが、貨車の入れ替えも 大切な仕事ですよ。散らかったままでは、キング・エドワード1世に 失礼ですから」
「わかってるさ、トード。でも、僕だって イベント関連の仕事が したいんだよ」
彼が給水して休んでいると、そこへダックがやってきた。
「仕事には 二通りのやり方が あるのは 知ってるね。グレート・ウエスタン流と…」
「僕を ダメダメ流って 言いたいのかい? 水を補給しているだけじゃないか。まったく、もう!」
彼はそんなダックにうんざりし、大きくため息をついた。



 やがて夜になり、オリバーはティッドマス機関庫にやってきた。明日の早朝、ティッドマス駅から列車をスタートさせるため、今夜はここで夜を過ごすのだ。
機関庫にやってくるなり、オリバーは愚痴をこぼした。
「ダックときたら、近頃は実に うるさい。局長さんから 特別な仕事を もらって以来、いつも しつこく自慢ばかりするんだ」
「まったくだよ。すっかり浮かれちゃってさ。何かっていうと すぐグレート・ウエスタン流だの、ダメダメ流だの。奴は 自分が あの鉄道の栄光に縋ってるだけだよ」と、ジェームス。

「そうだそうだ。オリバーの冒険談を何百回も聞くほうがまだいいよ」と、ヘンリー。
「俺は お前の どうでもいい冒険談と 愚痴で 耳にタコができるよりは ましだがな」と、ゴードン。
「なんだと!」
「まあまあ。ダックさんは、そんなつもりはないと思いますよ。彼は ただ、あなた方に喜びを 共有したいだけかと」
「いいや、彼は 僕らより 偉いと思ってるのさ。僕だって あの鉄道で 働いていたし、きちんと仕事を こなすことくらい、わかってるのにさ…」



オリバーの不満は募るばかりだ。次の日もイベント関連の仕事をやらせてはくれなかった。それに、昨夜のゴードンの言葉が忘れられなくて、相変わらず腹を立てているのだった。
旅客列車の仕事を終えると、客車たちを終点の操車場へ置き、今度は貨物列車を牽いてナップフォードの操車場へ向かった。
途中、彼は気になるものが目に入った。なんと、線路わきでタイガー・モスが逆立ちをしているではないか。パイロットが赤旗を振っているのが見えたので、彼は停車した。
「どうされたんですか」

「宣伝中に 不調が出てね。タイガー・モスが 墜落してしまった。イベントの宣伝が できなくて困ってるんだ。悪いんだけど、南の方へ行くなら こいつを格納庫まで 運んでくれないか?」
「僕に 任せてください。全力を 尽くしますよ」
「ありがとう、オリバー。ドライオー駅まで 頼むよ」



 間もなくダックがロッキーを運んでやってきた。
「僕が 後ろに ついて 走ろうか」
「いいよ。トードもいるし、僕だけで 平気さ」
「でも、彼は 前を向いて走れないだろう。昔、ハロルドを 運んだ事が あるんだけど、その時は狭い通路を確認するため、トーマスが後ろに ついて 走ったんだ。だから 誰かが 後方確認に 後ろに ついた方が 安全だよ」
「だけど 2回も失敗しただろ、知ってるよ。 君の 煩い 自慢話を聞きながら走るのは もう ごめんだ。さあ 行こう、トード」
彼はそう言うと、ドライオー駅に向かって出発した。
自分の行いを振り返ってしょんぼりとしたダックは、オリバーの代わりに貨物列車とロッキーを牽いてナップフォードへ向かった。



 分岐点で曲がったオリバーは、間もなく跨線橋を前にした。
そこへ、鉱山へ向かうトビーがやってきた。彼はオリバーの運ぶタイガー・モスを見て息をのんだ。
「危ない! その タイガー・モスは 跨線橋の下を くぐれないよ」
オリバーは跨線橋の前で急ブレーキをかけて止まった。
「ふう。教えてくれて、ありがとう」
「後ろから 確認する機関車は いないの」
と、ヘンリエッタが言ったが、オリバーは構わず別の道を進むために後退した。



彼は分岐点に戻ると、今度はまっすぐ進んだ。
「やっぱり、誰かに 後方確認してもらった方が いいですよ」
「大丈夫。僕を信じてよ トード」
そこへ、反対側の線路からドナルドがやってきた。彼は陽気にハミングしながらスピードを出して走っていた。
「気を付けて、飛行機列車が通るよ!」
でも、ドナルドは直前まで気づかなかった。ガシャンという音を立て、ドナルドの屋根がタイガー・モスの羽に衝突した。貨車から飛び出すことはなかったが、部品が取れて線路に落ちた。
「何か飛びましたよ、オリバーさん」
幸いにも、トードの忠告が耳に入った機関士はオリバーを停車させ、機関助士が落ちた部品をとりに行った。助士が戻ると、再び出発した。



行く先々で人々が、タイガー・モスを運ぶオリバーを珍しそうに見物する。子供たちも歓声を上げると、オリバーは気分がよくなり、つい調子に乗った。
「どうだい、かっこいいだろう。手を振ってくれて、ありがとう」
注目を浴びて自惚れたオリバーは、愉快そうに陸橋をガタゴトと渡る。



だが、その楽しさも長くは続かなかった。
前方にティッド川に架かる狭い鉄橋があることを忘れていた彼は、スピードを上げて走っていた。
鉄橋が見え、急ブレーキをかけた時にはもう遅かった。鉄橋に引っかかったタイガー・モスは、貨車から転げ落ちて、川へ落下してしまった。

 すぐにダックがロッキーを運んで現場へ駆けつけた。
トップハム・ハット卿も、ウィンストンに乗ってやってきた。
「君のせいで、混乱と遅れが生じたぞ。君と 一緒にいた トードだけでなく、ダックや ヘンリエッタの忠告を ちゃんと聞かなかったそうだな」
「ごめんなさい。これからは 仲間の忠告は きちんと 聞くようにします」



 タイガー・モスを貨車に戻すと、ダックが後方確認のため後ろについた。
そのおかげで事故を起こすこともなく、速やかに目的地に到着することができた。
「本当に ごめんなさい。僕のせいで タイガー・モスが もっと ぐしゃぐしゃに…」
タイガー・モスの車体は水で濡れ、歪んでいたが、パイロットは「早いうちに着いてよかった」と喜んでいた。



 その晩、ダックとオリバーは明日に備えてティッドマス機関庫へやってきた。
「ごめんよ。君の忠告を、真面目に 聞けば よかった」
「僕の方こそ、しつこく言って ごめん。君と この喜びを 分かち合いたかっただけなんだ」
「いいんだ、君は 何も悪くない。これからは しっかりと 注意深く仕事をするよ。もちろん グレート・ウエスタン流の やり方でね!」
2台は大笑いし、仲直りをした。イベント関連の仕事をもらえなかったオリバーを気の毒に思ったダックは、お詫びに自分の役割をオリバーに譲ってあげることにした。
これで明日は2台とも笑顔でキング・エドワード1世を出迎えられるだろう。

 


おしまい

 

 

【物語の出演者】

●ヘンリー

●ゴードン

●ジェームス

●トビー

●ダック

●オリバー

ヘンリエッタ

●トード

●トップハム・ハット卿

●オリバーの機関士

●タイガー・モスの操縦士

●ドナルド(not speak)

●ウィンストン(not speak)

●ロッキー(not speak)

●オリバーの機関助士(not speak)

エドワード(cameo)

●パーシー(cameo)

●ダグラス(cameo)

ファーディナンド(cameo)

●キャロライン(cameo)

●ブッチ(cameo)

○キング・エドワード1世(mentioned)

 

脚本: ぜるけん

※このお話は、2014年に投稿した記事を再編集した物です。

P&TI Ex-14 オリバーへのプレゼント(リメイク)

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 アールズバーグにもクリスマス・イブで駅と操車場が賑わっていた。飾り付けはまだだったが、機関車たちは幸せな気分で暖かい機関庫で休んでいる。

でも、たった一台、幸せじゃない機関車が居た。

「ほら、さっさと動けよ」

ガシャンと乱暴に音を立てたのは、オリバーだった。彼は不機嫌そうに貨車の入換え作業をしている。貨車たちは彼に対して悪戯をすることは無かったが、古くて頑固な貨車ばかりで、移動には時間がかかるのだ。

 

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駅の隣にある機関庫では、仲間たちがオリバーを心配そうに見守っていた。

朝から頑張っている彼の姿を見て、ブレーキ車のトードは何かしてあげたいと思ったが、自分一人では何も行動を起こせないので、不甲斐なさを感じていた。

「クリスマスですし、オリバーさんに 何か プレゼントを あげたいのですが…」

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